高齢者だけじゃない!若い年齢層にも起こりうる一人暮らしのゴミ屋敷
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「ゴミ屋敷」と聞くと、一般的に高齢者をイメージする方が多いと思いますが、近年は、若い世代にも当てはまる一人暮らしのゴミ屋敷化が問題視されています。
では、なぜ高齢者と比較して体力・気力ともに充実しているはずの若い世代が、住まいをそのような状態にしてしまうのでしょうか?
今回は一人暮らしの若者がゴミ屋敷を招いてしまう理由や、ゴミ屋敷化を防ぐ方法についてご紹介いたします。
このページの目次
一人暮らしがゴミ屋敷を招いてしまう理由
まずはじめに、高齢者がゴミ屋敷を招いてしまう理由は「体力的に片付けが難しい」「病気がちで寝込んでいる」といった、身体的に不自由が生じることが主な原因となります。
対して、若者は体力はあるものの、仕事や日常生活における精神的なストレスが大きな原因となる傾向にあります。
理由1. 仕事のストレス
まず、仕事によるストレスが原因でゴミ屋敷を招いてしまう例です。
現代は「ストレス社会」と呼ばれるように、職場で大きなストレスを抱えてしまう方は決して少なくありません。
このようなストレスを日常的に抱え続けることで、やがて「会社に行きたくない」「外に出たくない」「働きたくない」といった感情が強くなっていきます。
その結果、思考は鬱的な状態となり、身の周りのことにも関心が持てなくなるようになります。
理由2. 私生活での問題
精神的な問題は、仕事だけではなくプライベートでも十分に起こりうることです。
例えば「恋人との別れ」「親との死別」など、大切な人を失ったことによる喪失感が挙げられます。
また、近年の若者はコミュニケーション能力が低下している傾向もあるため、「友人ができない」「円滑な人間関係が築けない」といった、周囲との関わりがうまくいかないといったケースも増えています。
こうした状態では、自宅に人を招くこともなくなるため、部屋が多少汚れていても気にならない精神状況に陥りやすくなることが特徴です。
理由3. 引きこもり
職場・私生活問わずこのような状態が長期間続くと、やがて学校や会社も辞めてしまい「引きこもり」の状態になることも珍しくありません。
ここまで精神的な傷が深くなると、単なる引きこもりではなく、生活していく上での行動意欲は著しく低下していきます。
部屋を掃除する、買い物に出かける、食事を作るといった日常生活で必要な行動に対して無頓着となり、やがて住まいはゴミ屋敷へと進行していくことになります。
理由4. セルフネグレクト
上記のような強いストレスによって行動意欲が失われてしまうと、セルフネグレクト(自己放任)の状態に陥いることも考えられます。
セルフネグレクトになると部屋の掃除ばかりか、食事や入浴なども放棄しがちになるため、ゴミ屋敷はおろか孤独死の原因にも繋がる危険性があります。
一人暮らしは、周囲の誰かが気付いたりサポートすることが難しい環境です。
そのため周囲からの指摘がないまま、部屋のゴミ屋敷化へと繋がるのです。
一人暮らしの家をゴミ屋敷にしないために
前述のように若年層の一人暮らしの家がゴミ屋敷化してしまう理由は複数あります。
そのため解決策を考える時は、まずゴミ屋敷を招いてしまった明確な理由をしっかりと把握するようにしましょう。
仕事のストレス発散方法を探す
仕事のストレスからゴミ屋敷に陥ってしまった方は、休日を利用して蓄積されたストレス解消するなど、少し能動的な解決策を模索する必要があります。
ストレスは行動意欲の低下にもつながるため、ストレスを発散することは現代を生き抜く術でもあります。
また、仕事の合う・合わないといった相性は誰にでも起こりえることですので、大きなストレスを抱え、人生を犠牲にするまで無理のある仕事を続ける必要はありません。
ゴミ屋敷から孤独死に至っては元も子もありません。
長い人生ですから転職も視野に入れることを検討してみましょう。
積極的にコミュニケーションを図る
一人暮らしの場合は、帰宅して誰かに愚痴や悩みを聞いてもらえない問題があります。
コミュニケーション不足はストレスや鬱の原因ともなるため、家族や友人などと気軽に連絡を取り合える環境を日ごろから整えておくことが大切です。
ちなみに東邦大学医学部名誉教授の有田秀穂氏によると、人との「他愛もないおしゃべり」には幸せホルモンである「オキシトシン」の分泌を促す作用があるそうです。
このオキシトシンの分泌量が増えると、ストレス緩和に大きな効果が期待できますので、日ごろからさりげない会話を意識することが大切です。
まずはスーパーや飲食店の店員さんに、一言「ありがとう」と伝えることから始めてみてはいかがでしょうか。
家事代行など掃除サービスを利用する
慢性的に仕事が忙しい方は、自分で部屋の掃除まで手が行き届かない場合が多くあると思います。
汚れた生活空間では、おのずと精神状態にも悪い影響を及ぼしますので、費用はかかりますが、家事代行サービスなどを活用することも1つの選択肢といえます。
ゴミ屋敷は単に部屋の中がゴミで溢れているといった、表面的な問題だけではありません。
早い段階で問題の芽を摘み取ることを心がけましょう。